「頑張らなくてはいけない」という⾃分への呪縛「これからは私ができることをやっていきます。続けたい⽅は残ってください」そう⾔って、⺟の⾒よう⾒まねでお稽古を始めました。⺟に習っていた⼈たちを教えるプレッシャーは相当なものでした。⽣けた花のどこをどう直せばより良くなるのか。それを⼀瞬で⾒極め伝えるには、集中⼒と技術、論理的に説明できる⼒が必要です。緊張のあまり、お稽古の度に汗だくになりました。 そうして何度も何度もお稽古を繰り返しているうちに、花の声を⼼で感じられるようになっていきました。家元という⽴場で、いけばな協会の先⽣⽅に会うことも重圧でした。「技術は学んで来たけれど、理論や歴史は深く勉強していない」そう⾃覚していたからです。 「何か尋ねられたらどうしよう」「⼗分な知識を持っていない⾃分が恥ずかしい」会合がある度にその場を取り繕うことに⼀⽣懸命でした。
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