家元就任式前列左から4⼈⽬が私家元を継ぐ決⼼⺟は⽣涯理想のいけばなを追い求め、⼀途に⾛り続け、85歳で天国に旅⽴ちました。⺟が私に残してくれたものは、⼤量の花器といけばなの道具、⼭のような資料と作品集、そして古流理苑会の家元という⼤きな責任。「⺟のようはとてもできない…」 「サポートはできても、リーダーになるのは無理」 ⺟を亡くした悲しみより、責任の重さに呆然としました。 ⽣前「私が死んだら好きなことをしていいよ」と⺟は⾔っていました。でも、辞めるという決断はできませんでした。 何⼗年もの間、⺟を信じてついて来てくれたお弟⼦さんたちがいたからです。どんな⼈も、⼀⼈では何もできません。お弟⼦さんたちが頑張ってくれたから、⽀えてくれたから、⺟は実り多い⼈⽣を送ることができたのです。誰かに⾔われたわけでもないのに、「みんなを悲しませることはできない、⺟と同じように頑張らなくては、後継ぎとして⽣きることが私の使命なんだ」と思いました。
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